吾輩は鴨である 名前は皮蛋(ぴーたん)といふ
母は軽鴨 父は真鴨 ハイブリッド鴨である
どこで生まれたかといえば北多摩を流るる黒目川のほとりではないかと思ふ
何でも母鳥から離れてぐったり冷たくなっていたことだけは記憶している
吾輩はここで初めて人間というものに触れた いや 触れられた
しかもあとで聞くとそれは妖しげなおっさん2人組
で通常我々を捕まえて鴨鍋にするという獰悪な輩の可能性高いハズが幸いにもそうではなかった
連れて行かれたところは我々を狩り生きながらにして喰ってしまう犬畜生猫畜生の病気を治す場所だった
吾輩はここで初めて人間Aの顔をまじまじと見た
そのAは吾輩をつまみ上げこう言った
「うーん 半分死んでるね これは助からないだろうから様子見て埋めときますよ あなた困るでしょこれ?」
なんと無礼千万な!!
生きたまま埋められるなんて死んでも死にきれぬではないか!!
その後もう1人ちゃらけた別な人間Bが吾輩を手のひらに入れ、熱いぶうぶう風の出るなにやら銀色のものを吾輩にあてだした
「生き返ったりしてね!はっはっは」
吾輩の身体はみるみる温かくなって足も手もよろよろ動かせるようになった
そうして吾輩は生死の境を彷徨いながら復活したのだ
吾輩の生き甲斐はBの足やら手やら至る所をつっついて流血させることである
おわり
写真は保護当日の吾輩 改め 俺様 と 現在の俺様
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